2011年2月20日日曜日

英連立政権が発足、市場の関心は改善示す経済に移行

 [ロンドン 12日 ロイター] 英新政権が財政再建を旗印に掲げたことで、金融市場の注目は国内経済に移り、景気は意外にも底堅い改善を示していることで英国資産市場を支援する見込みだ。
 中道右派の保守党と自由民主党による連立政権発足を市場は総じて歓迎、ポンドは1.50ドルを超えて上昇し、英株式市場も地合いを強めた。英国債先物はユーロ圏の国債市場をアウトパフォームしている。
 アナリストは選挙前の不透明感が払拭されたことで、当面は楽観的見方が続くとの見解を示している。クラインオート?ベンソンのジェレミー?ベックウィズ最高投資責任者(CIO)は「外為?国債市場にとって最善の結果となった。年内を通じてやや回復地合いにるだろう」と述べた。
 新政権にとって国内総生産(GDP)比で11%を超える記録的な財政赤字削減が重要な課題。今年度だけで60億ポンドの歳出削減を行う計画だ。
 歳出削減は成長にはマイナスでデフレ的だが、世界的に成長が回復するなか英経済に占める海外からの利益のシェアが多いことを踏まえると、ポンド安は好影響だ。イングランド銀(中銀)が低金利を維持するとの見通しも、リスクの高い資産に好都合となる。
 ステート?ストリートのリック?ラカイユ最高投資責任者(CIO)は「他の欧州市場に対して英国をオーバーウエートにしている。英国市場のバリューは極めて良い。英国株の上昇は、国内の政治が要因ではなく、世界的な成長だ」と述べた。
 先週総選挙で過半数をとる政党がないことが明らかになった際、ポンドは1年ぶり安値1.4475ドルをつけた。英国株は6カ月安値をつけ、英国債と独連邦債の利回りスプレッドは12年ぶり高水準に開いた。先週末までにはポンド安を見込む向きが増えた。それ以降、英?独国債のスプレッドは縮小している。
 <景気回復が表舞台に>
 選挙を控えた不透明感で影が薄かったが、景気は回復を示している。3月の鉱工業生産は8年ぶりの大幅な伸びとなり、第1?四半期の成長率が速報値から上方修正される可能性を示した。統計局はポンド安が輸出を押し上げた兆候があるとしている。
 4月の住宅価格は上昇が加速し、製造業購買担当者景気指数(PMI)は15年ぶりの高水準となった。
 シュローダーのエコノミスト、アザド?ザンガナ氏は「歳出の削減前倒しが経済成長を押し下げるのは不可避だが、景気回復はペースを増しているようだ」と述べた。
 公的債務見通しや政治への懸念で英国債利回りは10月以降、上昇してきた。
 現在利回り3.853%の10年国債について、シティは一段と低下する可能性があると指摘。シティの10年モデルによると、公正価値は4.0%程度で、格付け機関が同国の信用見通しを確認すれば、財政状況に基づくリスクプレミアムは25ベーシスポイント(bp)程度低下すると見込んでいる。
 フィッチは12日、5年間の連立維持方針で中期的な財政赤字削減に取り組みやすくなるとの見方を示した。
 アナリストによると、英国資産への買いを呼ぶため投資家の信認を得るには今後50日間がカギ。ラボバンクは顧客向けリサーチノートで「この政権は今後50日以内に政策課題を公表する方針のようだ。この50日間は連立政権の見通しを占う上で試金石になる」との見解を示した。
 (Natsuko Waki記者;翻訳 村山圭一郎 ;編集 内田慎一)

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引用元:リネージュ3(Lineage3) 総合情報サイト

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